【 コラム 株主通信 4 】 財務諸表が見てわかる

「見てわかる」工夫、そのなかでもっとも大きな変革は「財務諸表の視覚化」です。

企業の業績を伝えるにあたって、財務諸表は重要な情報になっています。しかし、数字だけが並ぶ財務諸表ではどのくらい良くなったのか(悪くなったのか)イメージが湧かない、また数字はどうしても苦手、という人が少なくありません。

「数字が苦手な人に、どうすれば数字で伝えたい内容をイメージしてもらえるか」

ここでも「見てわかる」がキーワードです。

【例】

・損益計算書(要旨版)

・グラフにした損益計算書

~前期より伸びた理由を吹き出しで補足

どうでしょうか。

この例は、前期より数字が伸びた場合の損益計算書ですが、表に数字が書いているものでも、前期より数字が伸びていることはわかります。しかし、どのくらい伸びたのかは、グラフにしたものの方がイメージをもちやすくありませんか。それに、数字だけで見るよりは、生き生き伸びている感じがします。

財務諸表をグラフにして表現することは、「財務諸表は表である」という考えも強くあったので、受け入れられるのに少し時間がかかりましたが、いまでは、株主通信においてグラフにした財務諸表は受け入れられています。

また、株主通信を受け取る個人投資家にも、この表現方法は浸透していて、弊社が定期的に行っている、個人投資家モニターアンケートでも回答者の約半数がこの表現方法を支持しています。

※出所:e-株主モニターアンケート(a2media 2017年1月実施)
「Q:株主向け報告書(株主通信)によく掲載されている財務諸表について、ご意見をお聞かせください。」

 

アワードで知る、海外向けIRのトレンド

私たちa2mediaでは、海外向けIRのトレンドをつかむために、海外でのアワード受賞作品を、社内の勉強会などで閲覧・検討しています。今回はその中で、参考にしているアワードについて 、いくつかご紹介いたします。

 

◆ Building Public Trust Awards (BPTA)

https://www.pwc.co.uk/build-public-trust/the-building-public-trust-in-corporate-reporting-awards.html

[主催] PwC UK(イギリス)

エンロン事件やワールドコム事件を受けて、公正な報告を目指して設立されたアワードです。企業活動を通じての社会への貢献や、公共の信頼を考慮するなど、変化する社会情勢にも適応してきています。企業報告部門ではFTSE350銘柄が審査対象となっています(「人材」についてのみ対象はFTSE100銘柄)。

なかでも、「人財 管理」human capital managementや「雇用の実践」employment practiceを評価する人材部門などが興味深いです。大手監査法人主催ということもあり、税金部門も。国際的な租税回避に対する規制強化の流れを受け、こういった項目も今後は注目されてくることと思われます。

このアワードの経験などに基づき、FTSE350銘柄のアニュアルレポートについて、トレンドをまとめた記事をこちらで読むことができます。
https://www.pwc.co.uk/services/audit-assurance/insights/ftse-350-reporting-trends-.html

 

◆ ARC Awards

http://www.mercommawards.com/arc/awardWinners/categoryWinners.htm

[主催] MerComm, Inc.(アメリカ)

細分化されたカテゴリ毎にアニュアルレポートを評価するアワードです。社長メッセージ部門や、情報を視覚的に伝えるインフォグラフィックス部門など、ちょっと変わった賞もあり、各賞も産業分野ごとに細かく分類されています。

個別のアワードではないですが、国際統合報告評議会(IIRC)が運営するデータベースサイト上では、各国の表彰を受けた統合報告書の事例集を確認することができます。

IIRC、Black Sun(イギリス)

http://examples.integratedreporting.org/recognized_reports

 

こういったアワードから、海外投資家やステークホルダーが注視している項目について傾向を知るとともに、アワード選考委員の問題意識から、今後のIRにおける重視項目なども探っていきたいと考えています。

海外向けに、日本企業の企業価値や投資優位性を訴えていくために、英文アイテムを制作する流れは一般的になりつつあります。海外向けIRツールを制作される際には、ご参考にされてみてはいかがでしょうか。